明治という時代

11月最後の日。明日からいよいよ師走、そして2011年も終わろうしている。今年の師走の楽しみはNHK大河ドラマ、『坂の上の雲』の最終ラウンドだ。司馬遼太郎の歴史長編を毎年12月だけ、3年に渡って放映という前代未聞の歴史巨編。家族に言わせると、1年経ったら前の分忘れるじゃないだが、俺は原作本を読んでるし、この時代の歴史が好きで類書も読んでいるので、忘れっこない。日本が国家として輝いていた時代だ。
通訳案内士2次口述試験の過去問に、歴史上好きな時代はいつですか(What period of Japanese history are you interested in most?)というのがある。もしこの問題が今度の日曜日に出たら、俺は明治時代と答える。外国からの侵略をかろうじて免れて、明治維新により近代国家の一歩を踏み出した日本。国民国家全体が粉骨砕身して国力を蓄え、外交の知謀を謀り尽くして、日清、日露の大戦を戦い抜き、ついに西洋と伍するアジアの大国となった時代であった。『坂の上の雲』で、「まことに小さな国が、開花期を迎えようとしている」という渡辺謙の冒頭のナレーションと、エンディングの曲(ああああー♪ああああー♫)を聴くと、涙が自然と出てくるのは俺だけだろうか。
それにひきかえ今は、なんて言うつもりはない。日本人としての志の高さ、戦略眼の確かさ、粛々と実行する組織力、それを支える勤勉さ、謙虚さ、研究熱心さ、そして総力としての底力を、このドラマほど感じさせるものはないと思う。そして、やはり今こそそれを思い出して、前に進むしかないのだ。
今度の日曜日。本番の試験当日だが、その夜、『坂の上の雲』最終ラウンドの第一回目が始まる。それを楽しみに、最後の努力を続ける。