この夏出会った昭和モノ

暑かった今年の夏。3つの昭和モノに出会った。


黒部第4ダム
8月12日から18日まで夏休みを取り、息子とともに新発田の実家、糸魚川の妹夫婦の家、そして軽井沢の会社保養所へ6泊7日の旅行に出かけた。
糸魚川から軽井沢へ行く途中、黒部立川アルペンルートを、大町側から黒部湖、室堂まで、トロリーバス、ケーブルカー、ロープウェイで行き、北アルプスのスケールの大きな景観と涼しい夏を楽しんだ。
その際に初めて見て息を呑んだのが、黒部第4ダム、いわゆる黒よんダムである。
名前は何度も聞いていた。黒部の太陽、NHKのプロジェクトX紅白歌合戦中島みゆきが歌った場所。
今回、訪問してその壮大さ、荒々しい自然の中に立つ荘厳さが実感された。
それから黒部モノを改めて見聞する。
文庫本の『黒部の太陽』(木本正次)を読み、プロジェクトXをNHKのオンデマンドで観て、そしてフジテレビ開局記念で昨年やったドラマ『黒部の太陽』を借りてきたDVDで観た。
昭和30年代、この難工事に賭けた会社、組織、そして個々人の奮闘に熱いものが走った。


太平洋戦争
評判の『永遠の0(ゼロ)』(百田尚樹)を読む。敗戦直前に特攻隊で死去した一人の零戦パイロットに関する聞き語りから、太平洋戦争での日本という国家と帝国陸海軍という組織の愚かさ、凄惨さを語り、そして一個人の清廉さ、すがすがしさを語ったものである。
とても哀しくも、しかし勇気が湧いてくる快著であった。
これに触発されて『失敗の本質』(野中郁次郎他)を読み返し、『転落の歴史に何を見るか』(斉藤健)を読む。
昭和の時代に発露された日本人という民族が抱える組織的な問題点、弱さが身にしみる。
今の時代、そして小生の会社でも当てはまると言わざるを得ない。


都はるみ
映画『孤高のメス』で手術中に都はるみの歌を聞く外科医や、最近になって都はるみのファンになったという同世代の知人の商社マンから触発され、都はるみの歌をiPhoneでダウンロードして聞くようになった。
そこには日本人の濃厚な想いや情念がたっぷりの、懐かしい昭和の香りがした。
その商社知人から誘いを受けて、都はるみのコンサートに行くことになった。
実は小生、生まれて初めてのコンサートである。
9月初旬、二人は会社を17時に出て、神奈川県民ホールで、都はるみに出会う。
60歳以上の方が大半のコンサート会場で、50歳代前後の二人は若々しく見えた。
たっぷり2時間、この昭和の演歌の女王、日本人の歌姫のオーラ、魅力、存在感を浴びて、火照った二人は、横浜中華街で身体を冷まして帰ったことであった。
コンサート中、ステージから会場に降りてきて観客に挨拶して廻るはるみさん、ほんの1メートル近くまで来たのに、恥ずかしくて手が出せずに、握手が出来なかったことだけが心残りではありました。