坂の上の坂

俺の問題意識にぴったしの本が出た。

坂の上の坂

坂の上の坂


リクルートフェロー、元杉並区立和田中学校長による、40歳後半から50歳前半の人に向けた応援メッセージ、ヒント集である。

  • 私たちは、過去に生きた世代とは、違う生き方を求められている
  • 坂の上にあるのは『坂の上の雲』の時代のような、ぼんやりした「雲」では、もはやないのではないか。待ち構えているのは、実は「雲」ではなく。次の新たなる「坂」なのではないか。
  • 人が幸せになるためには、自分自身で「何が幸福なのか」を定義しなければならない。それが成熟社会の姿
  • 自分自身が設計した「幸福」のスタイルで「家」づくりをすること
  • 正解を見つける力(情報処理力)で君たちは東大に入った。しかしこれから求められるのは、正解のない問題にアプローチする力(情報編集力)
  • 正解のない状況で、どう自分なりに納得でき、関わる他社を納得させられる解を導き出していけるか。「納得解」を多様に導ける「情報編集力」が問われている
  • ただ、一歩前に、踏み出すこと。失敗したら修正すればよい。それこそが、どこに落ちているわけでも、隠れているわけでもない「納得解」に近づく最短距離
  • 四十五歳から五十五歳の間に、「社会的なものごと」への関心が、ビジネスや会社の軸からだけでなく、別の視点からも捉えなければならない。それが新しい行動へとつながり、これからを生き抜く重要な鍵となる
  • この新しい視線の獲得こそ「坂の上の坂」を登る原動力


これらを考察、実践するため、「人生のエネルギーカーブ」、「報酬カーブ」、「優先順位をはっきり意識」、「組織内自営業者化」、「外国人に見せるつもりで履歴書を作る」、「二人主義への準備」など、多くの具体的なヒントが紹介されている。対象も、生きる姿勢、仕事、消費、コミュニティの作り方、パートナーとの付き合い方、死とお金など、俺が関心を持つすべての分野をカバーしている。かといってお手軽なノウハウ集ではなく、背後に著者の強い哲学、想いが詰まっている好著である。40歳代半ばから、自分人生戦略プロジェクトを考察してきた俺にとり、実に刺激的、実践的な内容になっている。早速いくつか実行してみたい。また、同世代の方にもお薦めである。